親善試合 アメリカ−日本

今日の試合を一言で表すと「これはひどい」。ポジティブな収穫がなかったわけではありませんが、それでもやっぱりネガティブな点が圧倒的に多い、そんな試合でした。


今日は試合がSBCパークという「野球場」で行われたということで、試合を通してそこはかとない違和感に包まれてた。ピッチの向こうにフェンスや内野席、バックスクリーンが見えることやアメリカ人サポーターの野球的な応援もさることながら、何より会場が全体的に暗かった。「フライが飛んだときに白球が見えればいいし、あまり照明が多すぎるとライトが目に入って邪魔。だからそこそこの明るさがあればいい」という野球用の競技場なだけあって、僕が見慣れた代表戦と比べたら明らかに見にくい。会場のカタチの違いとかもあったけど、違和感の最たる理由は会場全体の明るさが原因だったんじゃないかな。札幌ドームのときはここまで変な感じはしなかったし。


今日の試合のテーマは3つ。久保の復活と3−6−1システムの有効性の行方、あとアメリカという超強豪でもないけどそこそこ強いチーム相手にどの程度やれるか。結論から言えば、どれも散々な出来だったと言わざるを得ないです。
まず久保の代表復帰。彼のポテンシャルってのはもう言うまでもないですが、彼が出場してた前半はアメリカのやりたい放題だったこともあり、活躍の機会もほとんど皆無。まあ全くなかったわけでもないけど、アレだけの劣勢でかつ前半のみの出場ともなるとこの結果は仕方ない気もします。今日はヒサビサの代表戦だったんだし、ともかく次戦以降に期待。
次に3−6−1のシステムについて。試合前は「戦術の選択肢が増えることはいいことだ」と思ってたけど、ここまで機能しないともなるともうやらないほうがいいんじゃないかとも思えてきた。とはいえ、今日のシステムが機能しなかったのは、攻撃陣が通用しなかったというわけじゃなく、むしろ、中盤の守備がへっぽこすぎたからだと思う。
日本はシステム的にいうと中盤が6人。なのに、4−4−2なアメリカに、玉際の勝負にほぼ完敗。ボールの収まりが悪く、持ってもまずキープが出来なかった。中盤を厚くしてそこでボールを奪い、パスを廻して攻めるっていう3−6−1で狙ってたポゼッションサッカーが全くといっていいほど見られなかった辺り、3−6−1がどーこーというレベルに達せなかったというところ。
とはいえ、日本のマズさだけではなく、アメリカの守備のよさも特筆すべき。アメリカって堅守速攻ってイメージが強かったけど、今日の試合でその考えがより強くなりました。個々の守備能力が高いんです。高めの位置での積極的なプレス、1対1になったときのポジショニング・やボール奪取能力、そんでもって守備的な連携のよさ。全体的にDFラインがそこそこ高めなので、中盤の選手が積極的にプレスをかけられる。それが効果的に決まった、って感じでした。あと左サイドの選手がすっごいよかった。点に繋がった高精度なフィードとか特に。
とにかく守備に関しては全てが高水準で、日本選手は全然やりたいことをやらせて貰えなかったですね。守備的サッカーが特に好きってわけではないですが、あの守備には感嘆しきりでした。
このチームが本番でイタリア、チェコと、あわよくば他の強豪チームとやることを考えると本番が待ち遠しくってしかたなくなってきました。


と、ここまでネガティブなことばかりを書き連ねたので、ここからはポジティブな面に目を向けませう。
まず、1点目は「3−6−1」は使えないのがわかったということ。前半3−6−1がまったくダメだったというのもあるけど、後半、3−5−2、4−4−2とシステムを変えるにつれて日本選手の動きが見違えるほどよくなったことから見ても、無理して3−6−1を使わなくてもいいんじゃないかなーと思えてきた。3−6−1がダメというか、むしろこれまで常用されてた3−5−2や4−4−2が通用するんなら、それでいいじゃないかという感じ。まああんまり使わない3−6−1とやりなれたシステムを単純に比較することはできないけど、どちらにせよ今日はテストマッチ、実験という意味では役立ったんじゃないかな。
そしてなにより、この試合最大の収穫は、新戦力として使われた長谷部とかが頑張ったということ。前半のあの超劣勢という実にやりにくい場面で投入されたにも関わらず、落ち着いたプレーをしていた。長谷部はウワサ通りイイ選手だなと。あと、現在当落線上にいる巻や阿部も、貰ったチャンスを生かそうと頑張ってたのはいいことだと思います。
ただ、ここへ来て新戦力を発掘するよりは、この時期にはもうメンバー・システムは大体固まっていて、ここからは更に磨きをかけるほうが見ているこっちとしては安心するんだけどなー。なぜもーちょっと早く、いろんな選手をテストしておかなかったんだ、しっかりしてくれよジーコ
あと、0−3から2点取り返したというのはよかった。前半、不慣れなシステムとはいえあんだけボコボコにやられながらも、後半慣れたシステムに戻すとともにじょじょに復活。相手がバテてたとか主力選手を下げたとはいえ、あわや同点!?って思っちゃうぐらいの勢いは見ててゾクソクした。
あんだけの追い上げを見せれるんならもーちょっと早く見せて欲しかったなぁ。


何はともかく、この時期になって悲観しても仕方ない。相手がアメリカで、会場は野球場、そんでもってまだ練習不足だった点を考慮すると、今日の試合はまあ妥当かな。
残り時間もあとわずか。1戦1戦を大事にして、W杯本番で後悔がないように準備していってほしいもんです。